指導者として、子どもたちの成長を見ることは何よりも楽しい瞬間です。
しかし、最近の指導で、私はひとつの「壁」にぶつかっています。
それは、技術的な問題というよりも、もっと根本的な体の使い方に関するものです。
卓球を指導されている方、あるいは、お子さんの運動不足に悩んでいる親御さんなら、きっと「わかる!」と感じてもらえるかもしれません。
私の卓球クラブで、特に背が高い子など、ある共通の課題に直面しています。
それは、「膝が曲がらない」「前傾姿勢ができない」ということです。
頭では理解しても、体が動かない現実
練習中、特に背が高い子には、私が膝を曲げ、前傾姿勢をとって「こうだよ」と見本を見せます。
その時、その瞬間だけは、彼らも膝を曲げ、足を動かすことができます。
しかし、打ち込みを始めるとすぐに、体は棒立ちに戻ってしまうのです。
卓球のフットワークは、膝を曲げて前傾姿勢をとらなければ成り立ちません。
なのに、彼らはその「卓球の姿勢」をキープできない。
私が「この姿勢を真似して」と言っても、見本と同じにならない。
真似をすること自体が難しいのです。
フォア、バック、回り込みといった基本的な3点のフットワークの見本を見せても、滑らかに動くことができません。
「真似できない」のは、筋力と経験の不足?
なぜ、こんなことが起こるのか。私の頭には一つの疑問が浮かびました。
「今の子供たちは、もしかして根本的な筋力がないのではないか?」
そして、「真似をする」という能力自体も、極端に運動量が少ないことで衰えているのではないか、と。
昔の子どもの遊びといえば、外で走り回ったり、鬼ごっこをしたり、友達の動きを真似たりすることの繰り返しでした。
しかし、今は家で過ごす時間が圧倒的に長く、YouTubeなどの画面を見ている時間が増えすぎているように感じます。
この疑問について、知り合いの看護師さんに相談してみました。
すると、やはり懸念が的中。
看護師さん曰く、YouTubeなどの影響で肥満や、骨が弱い子がどんどん増えているそうです。
そして、「週に1回か2回でもいいから、体を動かす時間を作らないとまずい」と強いアドバイスをもらいました。
愛情と根気で見守る、長い戦い
卓球の技術指導の前に、まず「卓球ができる体」を作る必要がある。
これが、今の私の指導の大きな課題です。
前傾姿勢をとるための体幹や、膝を使い続ける筋力は、一朝一夕では身につきません。
「卓球の基本姿勢とフットワークは、地道な反復練習以外に定着させる道はない」ということです。
でも、A君の指導で、ラケットにボールが当たるまで1年かかっても諦めなかった経験があります。
子どもたちが前傾姿勢をとり、卓球の土台となる姿勢を身につけるには、時間がかかる。
これは、指導者として長い目で見ていくしかない、と改めて腹をくくりました。
子どもたちの成長を信じ、諦めず、今日も私は体育館に立ちます。


